PJ7Kのデコード率が低い理由は、極回りのため?

今朝、15mでPJ7KがFT8で出ていました。信号はMax3スレッドで、それなりの強さで、問題なくデコードできそうに見えるのですが、デコード率が低く、2回に1回か、悪いときは、5-6回に1回しかデコードできません。JTDXとWSJT-xを切り替えたり、AGCの設定やRFゲインなど、いろいろと試みても改善されませんでした。それでも、少しマシな時にQSOはでき、無事にRR73を確認できました。(左の3本がPJ7K、右は、呼んでいるJA局)

Flex6400のスペクトラムスコープとウォーターフォールを拡大してみると、下のような感じで、一見とPJ7Kの信号とJAの信号を見て、特に違いがないような感じがしますが、ただ、音は、PJ7KはQSBとフェージングがあるような感じです。

ここでふと、以前、アメリカのQEXの記事で見たFT8の理論の解説で、FT8とFT4のデコード確率に関して、フェージングの影響が大きい、ということを思い出しました。

この記事での論点は、FT8は-21dB、FT4は-18dBぐらいまでデコードできる(事前情報があれば、さらに2-3dB改善)が、この結果は信号強度と信号の質で低下する、というもの。上のグラフで、黒塗りの丸がFT8での理論上の信号強度に対するデコード率、黒塗りの四角が中程度擾乱、黒塗りの三角は高度擾乱の場合で黒丸/黒四角に対して黒三角は著しくデコード率が低下しています。この擾乱の特性は周波数拡散、パス遅延等のいわゆるフェージング現象で起きるもので、発生要因の一つに極回りパスが考えられます。記事の中でも高緯度でデコード率が低下することに触れられています。カリブでもかなり東に位置するPJ7からJAへのパスはアラスカの北の北緯70度を超えるぐらいのところを通るので、いわゆる極回りの伝搬の影響が強いことが考えられます。

ということで、PJ7KとのFT8でのQSOの難しさに自分で納得したのですが、デコード率が悪かった22Z台から比べて01Z前後には、かなりデコード率が改善しているようです。当然ながらコンデション次第で、信号強度も歪み具合も刻々と変わるので、QSOのチャンスをつかむことはできるはずですね。

なお、上のグラフで、FT4の方(白抜きの線)は、理論的にはFT8よりもデコード限界が低いものの信号の擾乱の影響が小さく、高度擾乱条件では、完全にFT8よりも優れています。この理由については、記事の中で、FT8のトーン間隔がFT4のそれよりも狭いため、FT4が周波数拡散に対して有利、と説明されているので、PJ7KもFT4での運用をしてもらうと、フェージング時にはデコード率が改善するかもしれません。

(記事出展:QEX July/August 2020 " The FT4 and FT8 Communication Protpcols")

追記)このブログを書いた後で、宇宙天気予報を見ると、地磁気嵐が継続中とのこと。極回り伝搬のせい、とコメントしましたが、極回りがより影響が強いかもしれませんが、電離層反射での伝搬全般でフェージングが起きやすい状態みたいです。

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ミシガン州に仕事で単身赴任で3年暮らすことになった時に、無線と野鳥-Great Lakes State-と題してこのHPとブログを始めましたが、2020年1月末に帰国になり、改めて、この題名で再開しました。このページのBlogの他、上部のMENUのリンクにアメリカの時の情報も残しています。< de JA1AGG, also WJ6J >

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