FlexRadio 6400
IC-7300などSDRのリグも増え、大人気ですが、パネルがのっぺらぼうの海外製のSDRのリグも増加しているようです。FLEXの6400をアメリカで購入し日本に持ち帰りました。アメリカに居るときに知り合いになった人に1-2世代前のFLEX-3000も譲ってもらい、以前から、1500も所有しているので、FLEXだけで3台持っています。帰国後に、3000と6400は保証認定を受けて変更申請し、6400をメインのリグ、3000はFT-2000Dの外部受信機としてバンドモニターとして使い始めました。
Flex6400は、1.9-50MHzまでの100W機で2 Receiverですが、現地の価格はATUなしなら$1,999。IC-7610との比較で、22万円 vs 36.8万円(実売は安くなって来ているでしょうか?)と考えると、かなり価格に差がありますが、パネル・モニター・ATUなしをいくらと見るか、ですね。FLEX3000はPCとの接続がIEEE1394で設定がやや複雑ですが、新しい世代となってLAN接続の6400は本当に簡単に接続できます。Smart SDRをインストールすると、接続をコントロールするCATとオーディオをつなげるDAXというソフトが一緒にインストールされ、同じネットワークの6400を探して接続するので殆ど自動的といって良い状態です。インターネット経由のリモート操作でもリグの横に居るのと同じ感覚で使え、FT8などのデジタルモードもLAN経由で問題ありません。ノイズフロアレベル・混信除去性能、使い勝手とも私の期待に対しては十分、素晴らしいと思います。
VFOを回す、という操作の習慣(執着とも言えるかもしれません)から、画面を見て、文字通り「ワッチ」し、オンエアー局の周波数に飛ぶ、という使い方に慣れるのに、それほど時間はかかりません。最近はFT8が増えて、VFOに触る機会が減ったという方も多く、FT8周波数を受信して画面を流しっぱなし、というスタイルは定着していると思いますが、バンド全体を見渡して、QRVしている局が一目でわかるのは、従来のVFOをぐるぐる回して相手を探すのとは全く違います。またノイズの様子も分かり、出ているノイズがどのような種類か、周期性がどうかなどが目で見えるのは、情報としての質がかなり変わる気がします。最近のスペクトラムスコープ付きのリグでも同じだと思いますが、PCの画面で必要に応じて大きくしたり小さくしたりと使い勝手は良いです。FT8を運用中でも他の周波数の状況が見えるのはFBです。SmartSDRは、TelnetのSPOT情報をバンドスコープ上に表示できるので、例えばCWの珍DXのオンエアにすぐに気づくことも出来ます・
SmartSDRを立ち上げ、JTDXとLogger32に連携してオペレートしているときのデスクトップはこんな感じになっています。
気になるのはPCへの負荷で、持っている中で一番新しいデスクトップPCはi7-8700/16GBで、SmartSDRを動かして、タスクマネージャーの表示を見てみました。JTDXなし(左)とあり(右)で下のような感じです。同時にChromeでPSKレポーターも表示していましたが、このレベルのPCのスペックなら、全く問題ありません。メモリー負荷は4GBを超えていますが、一番大きいのはChromeでした。グラフィックはGT1030です。
また、無線でメインで使っているHPワークステーションZ420のXeon-E5-1620/16GBでも、JTDXを動かしWEBも繋いでいる状態でも余裕があります。(下の左の表示。これもSmartSDR+JTDX+Chrome) 一方で、サブにしている古いノートパソコンはi5-2520M/8GBですが、SmartSDRを画面かなり小さめで表示してJTDXを動かし、他のソフトをすべて止めても、CPU負荷がピークで100%まで掛かってFANが大きな音を立て始めます。QSOには概ね問題はないようです。CWならまったく問題ないですが、FT8でたくさんの局が出ていてDecode完了に少し時間がかかり、送信するシーケンスを繰り返してから改めて応答に応じた次のシーケンスに切り替わる、というような状況が起きることがあります。WEBなどを同時に立ち上げるとさらに厳しくなっていくと思います。
グラフィックへの負荷は、画面の大きさによってかなり変わります。Full-HDのディスプレー一杯にSmartSDRを表示すると、Z420に付けているグラボのNVIDIAのK2200で30-40%の負荷になるので、オンボードのグラフィックでは厳しいかもしれません。上の写真程度の大きさ(このディスプレーはWQHDなのでSmartSDRはWXGA程度での表示?)ならそれほどの負荷ではありません。むしろChromeなどでPSKレポーターを表示していることの負荷の方が大きいです。無線機にスペクトラムスコープのついている機種では、大きさとスピードによる処理能力の制約で設計上苦労されているのでしょうか。無線機そのものでなく、PCに機能を持って行って、大きな画面で見たい人はPCに多少お金を掛ければ可能になるというのは合理的なことではないでしょうか。
ところで、リモート接続ではLANで直接6400に接続でき、無線機側にPCを置かなくても運用できるのですが、もし、CATの連携でSteppIRやLOGなどを繋ぐのに一つのPCにしたいとかで、無線機側のPCにリモート接続し、そのPCから6400を操作する場合には、TeamViewerのリモートだとCPUとグラボの負荷が大きく上がるので、Windowsのリモートデスクトップを使った方が良いようです。原理は良く知りませんが、TeamViewerは現地のPC画面を送っている感じでCPU/グラフィックの負荷が2倍ぐらい上がります。WindowsのRDPはPCの処理情報を送っているだけ?で、現地のPCには画面を作る負荷は掛かっていないようです。(CPUの負荷は変わらないが、グラボの負荷は殆どゼロ)
無線機の性能としてのレポートはブログの方に、適宜、追加したいと思います。
ANTの性能とFlex6400の性能を別々に評価するのは難しいのですが、FT8で他の局のSNRに対して40/30mで比較的良い(カリブなどをたくさんの局が呼んでいる状況などで、自分のSNRがどの局よりも良いときもある)ように思う理由は、当初DB18Eの40/30mは性能が高い、と思ったのですが、実は、Flex6400のノイズフロアが低く、信号強度が低くてもSNRの数字は数dB良いのかもしれない、と思うようになってきています。その証拠に、-5dBぐらいの局を呼んでも応答がないことが多いです! 100Wで呼べば、相手がKWとしても-15ー20dBぐらいで届くんじゃないの?と思うのですが、こちらのノイズが低くて下駄をはいているのかも、というのは、自分への言い訳でしょうか?