ソメイヨシノとダイバーシティ
今年は、天候が不順で暖かくなったり極端に寒くなったりでしたが、桜は満開となり、そろそろ花が盛大に散る様子になってきました。ところで、日本の桜の代名詞のソメイヨシノという品種は、たった一本の元の木からのクローン、という話は、多くの方がどこかで聞いたことがあるかもしれません。
栽培目的で育てられ、それが日本中に広まったということですが、「自家不和合性」という特性で、自分の花粉で種が出来ないそうですが、周りの木もすべて自分のクローンなので、種が出来ないのだそうです。
会社のオフィスにいるイタリア人に、この季節は桜がきれいでいいだろう、言ったところ、きれいだが、東京の桜は少し気味が悪い、との答え。 何で?と聞くと、どの桜も同じ色で一斉に満開。少しはピンクや赤もあっても良いし、もっとばらばらに咲いても良いのに、余りに皆同じで、日本人を象徴しているみたい、と。 言われてみると、クローンのソメイヨシノは、みな同じ色だし、同じ気候ならほぼ同じ時に咲いて散るので、今はやりのダイバーシティとは正反対に、単一民族の日本人的という印象らしいです。田舎の山や、京都のお寺などでは、色々な桜の品種が混じって、たくさんの色のモザイク模様の景色を見ることもあり、それも、ソメイヨシノ一色の桜とは違った良さではあります。
日本の街に住んでいると、ソメイヨシノがたくさん植えられた公園や河川敷の桜が、日本の春を象徴するきれいな景色と、完全に頭に刷り込まれていますが、生まれた時からダイバーシティのるつぼのようなところで育ったヨーロッパ人からすると、ダイバーシティが無い(小さい)ことが「気持ち悪い」という事を理解するのが、ダイバーシティの第一歩、と思った会話でした。
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