バーチカルアンテナのラジアルについて
今、80mで使っているCD78jrの性能にもう一つ満足できず、バーチカルを使ってみたいと思っています。 バーチカルアンテナは、ローバンド対応やスペースの制約があるとき、また移動運用でマルチバンド運用などでも選択肢に上るアンテナだと思いますが、良いアースが取れないと、十分に性能を発揮しないと聞きます。一般的には、良好なアースの確保が難しい場合、ラジアルを使うことが多いと思いますが、ラジアルについて、長さ、本数、地面か地面からの高さを持たせるか、という問題があります。 移動局の設定として適当な長さのラジアル線(5mぐらいとか)を数本地面に広げている、というような話も聞きますが、何が正解なのか、と思って、WEBを彷徨っていました。そして、N6LFによる、大変興味深いバーチカルアンテナのラジアルについての考察の記事(ARRL QEX Mar/Apr2012)を見つけました。 https://www.antennasbyn6lf.com/2012/02/index.html
見つけた論文によると ①比較的少ない本数の場合、ラジアルは長いほど良い、ということではなく、ある長さで極端にロスが大きくなる(長くしたら悪くなることがありうる)。 条件によるが、ラジアルの長さが、波長の1/2λ(0.4-0.6)辺りで、特に大きなロスが出る。(10mのラジアル線だと14/18Mhz、5mのラジアル線なら、24/28MHzで悪影響大) ②ラジアルの本数が一本だとこの効果が顕著で、本数を増やすとそのロスの大きさと影響する長さの範囲は減少。16本なら、長さに関わらずロスはあまり出ない。 ③4本のラジアルを地面に置く場合と地上30cmの高さに設置する場合を比べると、ラジアル線長が0.3波長位までなら大きな差はないが、それより長いと、地面に置いた場合にロス大。 ④地面からの高さはそれ程必要なく、0.001λで十分(80mバンドでも30cmで十分)
1/2λの長さはNG,は、LWのエレメント長の話で聴いたことがあるので、納得ですが、本数とか貼り方で影響の出方がかなり違うというのは、知りませんでした。これ以外にも、対称的な配置が良いとか、バラン/チョークの必要性、アンテナの高さの影響他、重要な情報があります。
実用的なラジアルを簡単に設置するにはどうすればよいか、を、記事を参考に割り切ってまとめると、以下のような感じです。
4本のラジアルを考えるなら、0.3λ長以下のラジアルを地上30cmに設置が良い(1/4λ長に拘る必要はない)
4本の10m長のラジアルは、3.5-10MHzバンドで良好に動作しそうだが、14MHzバンド以上では長すぎてロスが大きくなる。14-28MHzは3m程度のラジアル長で十分
3.5-28MHzまでのマルチバンドバーチカルだと、10mを4本と3mを4本のラジアルを高さ30cmに設置するのが良い(切り替えが必要か両方接続で良いか実験要)
このまとめは、自分の環境で出来そうな解の視点なので、論文の最後にあるRecommendationとは異なります(10本以上の1/4波長のラジアルを対称的に地上の適当な高さに設置すべき)
逆に、うまくいかないイメージは 1本(~4本)のラジアルを地面に置き、マルチバンドに出ると、長さによってうまく動作するバンドもあるが、うまく動作しないバンドも多くありそう(長すぎるとうまくいかないバンドが増える?) というところで、なんとなくどこかで聞いたことがある条件のような気もします。
ラジアル長は1/4λ以上長で長いほど良いのでは、と、80-10mのマルチバンドバーチカルに20mのラジアル4本を地上につければ良いか、と思っていました。この場合、80mではそれなりでも、40m以上ではうまく動作しないかもしれません。4本のラジアルというのは、作り易そう(16本のラジアルは大変)と考え、1本よりはかなりましだろう、と安易に考えますが、この論文では、本数が少ないと、さまざまな条件に敏感になり、本数を増やせば、高さや長さに関わらず動作し易い、ということが重要な考察だと思いました。
それにしても、長すぎると良くない、地面に置くよりも少し地面から話した方が良い、ということをデータで示され、テストして確認をしたくなりました。
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